フードバンク八王子様へのインタビュー(後半)

我々にできることを、限りなく、ちまちまと。
これが方針です。

※本記事はフードバンク八王子様へのインタビュー(後半)です。前半記事はこちら

―――ひととおりフードバンク八王子さんで取り組まれている内容については伺いましたが、活動の中で感じている思いなどあれば、ざっくばらんにお聞かせいただけますか?

川久保:そうですね…。私は利用が少なくても増えても、すごくモヤモヤとしたものを抱えています。それはフードバンクのパントリーも同じで、いつも私たちは利用する方が帰る時に「またね」って言うんだけど、「『またね』っていけないんだよね」とも思うんです。自立していくのが私たちの願いなのでまた来てもらっては困るのに、つい「またね」って言っちゃう。私たちがいつも心がけているのは、さっきも國本が言ったように当たり前に世間話ができる場所であればいいなということなんです。

大上段に構えて「食料をあげますよ」ではなくて、ここで繋がりを作っていくことが私たちの仕事だと思っているので、パントリーネットワークも地域につながりを作るための出先機関だと思っています。

貧困の一番大きな問題が「関係性の貧困」と言われています。地域のつながりのない方がすごく多くて、「1週間誰とも話していない」というような高齢の男性の方も多いです。

だから、フードバンク八王子に来た時には普通の世間話ができる場にしたいなと。それをパントリーネットワークという形で地域のいろんなところに広げていきたい、それで地域と繋がりを作っていきたいと思っています。だから、例えばパントリーを卒業したとしても、その繋がりだけは残るような形にしていきたいと考えています。

子ども食堂もそうで、つながりを私たちはとても大事だと思っているので、そのために何ができるかなということをいつも考えています。

―――フードバンクというと経済的に困っている人が来るというイメージですが、どちらかというと経済的にというより、人との関係が希薄で困っている方が多いのでしょうか?

國本:それはちょっと誤解があって、経済的に困っているのは間違いないんです。ただ、経済的な貧困というのが、さっき川久保が言った「関係性の貧困」と直結しているんですよね。本当に人との繋がりがない人の大半が、おそらく貧困の状態なんだと思います。何でそういった経済的貧困の状況になったのかというと、社会的な繋がりがなくなって孤立して、という人はものすごく多いですね。

基本的には我々の活動は「緊急支援」みたいな形で考えていますから、私も利用する方には「自立して卒業してほしい」という思いももちろんあって、それが原則なんですけど、なかなか自立って上手くいかないんですよね。もともと困難な状況にある方の自立は、やはり、そう簡単じゃない。生活の中で孤立していたり、人間関係ですごく苦しい状態になったりする人もいて、そういう人であればなおさらですよね。そういう人が、うちと、かろうじてであっても繋がっているっていうのは、おそらく意味があるんだと思います。

いろんな世間話をしたり、馬鹿話をしたりして、「帰る時にはにっこり笑って帰ってもらいたい」というようなことを川久保が前に言ったときに、僕は「本当にそれだな」と思いました。そういうことをどれくらいできるか。そういうことを社会とか、国家とか、政治とか、そういう大きなものといたずらに無責任に結びつけることなく、自分たちができる範囲で限りなく具体的にチマチマとやっていくというのが我々の方針です。

―――ありがとうございます。本当にいろいろなご活動をされていますが、「つながり」というキーワードのもと各事業の理念は根っこを同じくしていることがよくわかりました。
次の質問なのですが、当店から寄付させていただいた寄付は、今までご説明いただいた事業のどのような部分にご活用いただいているのでしょうか?

國本:やはり一番多いのは困窮者への食料支援と子ども食堂に対する支援です。その辺りのいろいろな費用で消えている部分が一番多いです。あと今は年に2回くらいひとり親世帯を中心に食料の配送とかをやっているんですけど、そういった事業の経費にも使わせてもらっている感じです。

川久保:ご寄付いただいた方への活動報告という意味では、寄付者の方全員にメールでお礼を送らせていただいています。「困窮者の食料支援とか子ども食堂の食料提供を中心に、「はちおうじっ子のコロナに負けるな応援プロジェクト(当方にもいただいた2022年3月度の活動報告はこちら)という食品配送などにもご寄付いただいたお金は使わせていただいています」という内容です。

メールを送信させていただいた後、そのうちのお2人から「こんな風に寄付金を使っている活動の様子をお知らせいただいて嬉しいです」というお返事もいただきました。

先程から申し上げてきたようにつながりを大事にしていきたいので、今後もこんな形で地道にやっていきたいと思っています。

子ども食堂を大事にしているのも、今の子どもたちにはつながりがないからなんです。コロナの影響もあって、余計外に出るのも難しい時期ですから「居場所がない」とか、いろんなことがニュースにも取り上げられますよね。

子ども食堂の活動を大事にするのは、そのつながりを生むツールに子ども食堂がなり得ると私たちが考えるからです。いろんな人と子どもたちにつながってほしいんです。いろんな人との関わりがある、そういったごちゃごちゃの中で育ってほしいなと思っています。

我々の活動を「テトテ」でももっと発信してもらえたら。

―――最後の質問です。今後、テトテではフードバンク八王子さんの活動に対して、どのようなおお手伝いができるでしょうか?ご希望は何かありますか?

國本:寄付金であったり、食料であったり、我々はいろんなところからいただいているのですが、それには皆様の想いを強く感じています。だから、これ以上に「もっと金額が増えればいい」とか「もっとたくさん食料がもらえるといい」とかは思っていません。私たちには、できる範囲でしかできませんから。

むしろ、お願いしたいのは、やはり我々の活動、われわれがどういう現実に直面しているのかといったことを「テトテ」のプラットフォームを使って発信していただきたいです。われわれはその方がよっぽど大事だと思っています。困窮者の問題であったり、あるいは、高齢の方の問題であったり、若年であったとしても障害でなかなか生活が難しい、仕事が見つからない、そういう人たちが私の周りにいっぱいいるわけですが、そういう人々は普通に生活をしていたらなかなか視界に入らないですよね。あるいは、視界に入ったとしても、かつての私がそうだったわけですが、自動的にシャットアウトしている。無意識にですけどね。そういう難しい人たちとの関わりみたいものを「テトテ」でも発信してもらうのが一番良いかなと私は思います。

―――そのことは他団体さんも同じことをおっしゃっていました。やはり我々のホームページも個々の団体さんが発信する場所として、もっと協力していくべきだなと改めて思いました。

川久保:私は、絵本をいただくのがとっても嬉しいです。子どもたちがすごく喜んでくれるんです。本当に子ども食堂のみんなも絵本をいただくのを楽しみにしています。読書離れとかいろんなことも言われていますし、私は本当に本を読むことってすごく大事だと思っています。その機会をいただいていることがすごく嬉しいです。ぜひ、ノースブックセンターさんには読書の楽しさを子どもたちに知ってもらえるように、これからも頑張っていただきたいなと思っています。

―――そう伺ってこちらも嬉しいです。当方としても、やはり絵本を作ってくれる方は自分の子どもとかの思い出があるものを送ってくれるわけで、そういうものを廃棄してしまうのが一番心苦しいので。フードバンクさんなどでまた次に活かして使ってもらえるというのは当方にとってもすごくありがたいことなので、今後とも是非一緒に取り組んでいけたらと思っています。

國本:絵本って特殊だと思うんですよ。ただ単に読書の対象としてあるんじゃなくて、絵本があると大人が読み聞かせますよね。だから、それがものすごく大事だなと思っています。絵本があるだけで子どもと大人が、親である必要はなくて大人が、そこにごく自然に関われる非常に重要なメディアですよね。

―――会話のきっかけにもなりますしね。

川久保:たまにおじさんが読み聞かせをしてくれるイベントなども、子どもたちは本当に楽しみにしています。今、コロナでなかなかそれができないんですけど。読んでもらう体験も、読む体験も本当に必要だし、日本の学校教育って試験でもなんでもそうなんですけど、問題を解くにしても読み解く力が大事ですよね。読み解く力をつけるためには普段から読んでいることが必要なので、その学習のためにも絶対に読む経験を普段からしているというのは大事なことだと思います。その前の段階として、小さい時から「あー、読むことが楽しい」となれたら、一番いいですよね。

だから、絵本を子どもたちが本当に楽しそうに選んでくれたり、読んでくれたりするのを見るとほっこりします。ぜひ、こういった場面を見に一度来ていただきたいです。

―――我々としても、普段は我々の送った本を誰かが手にとるところを見る機会がなかなかないので、いつかお邪魔できる機会を設けさせていただきたいです。
今回は貴重なお話しをいただきまして、ありがとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします。

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(更新日:2022年08月04日)